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タブレット端末のガラス面にも使用されています。

課題

近年では一般消費者の安全・安心のため、また、企業が効率よく商品を管理するためにトレーサビリティー(トレース=追跡、アビリティ=能力)が重要視されています。

トレーサビリティーシステムを導入することで「この商品を、いつ、誰が、どのように手を加えた」かが分かります。これにより一般消費者が手軽に産地を調べられるようになったり、商品に問題が起きたとき素早く流通経路を確認できるようになります。

消費者の安心と生産者の情報共有。これらは企業の成長に欠かせない大切な要素です。

 

トレーサビリティーの重要性。これは私たちが日ごろ手にする、スマートフォンをはじめとしたタブレット端末機器も例外ではありません。それらはシリアルナンバーなどで個別に識別表示が施されています。これにより故障などのトラブルの際に素早い個体照合ができるようになっています。

しかしタブレット端末はその数も膨大であり、それら一つ一つシールを手貼りするのは非常に手間がかかります。

そこで当社に、連続式IJP(インクジェットプリンター)でタブレット端末のガラス面に識別番号を印字したいという要望が寄せられました。

 

ですがそれには大きな課題が二つありました。

 

一つ目の課題はインクの質の向上。

トレーサビリティーは、その情報を常に正しく読み取れてこそ効果を発揮します。そのため、製造過程で決して失われない高い耐久性と視認性が要求されました。また、タブレット端末の製造過程にはアルコールの消毒もありましたので耐アルコール性も求められました。

 

二つ目の課題は素材の限定。

近年、電子部材の多くはハロゲンフリー(※1)であることが求められています。今回ご依頼いただいたお客様もこの点を気にしておられました。

ハロゲンを含む物質を低温で燃焼させることで発生するダイオキシンは人体にも有害であり、ご利用いただく会社の方々の健康のためにも避けては通れない課題です。

 

この二つの課題を前に、当社では新たに「ガラス用インク」の開発を開始しました。

 

要点

  • 擦って取れない(高耐久)、アルコール消毒で消えない(耐アルコール)、ダイオキシンを発生させない(ハロゲンフリー)、トレーサビリティが行える(視認性良し)の条件を満たすインクの開発

※1.ハロゲンフリー銅張積層板試験方法JPCA-ES01-2003 5p(http://jpca.jp/jpca-members/wp/wp-content/uploads/members/special/standard/standard_pdf/jpca-es01-2003.pdf

解決策

せっかく印字ができてもアルコールでインクが流れてしまえば意味がありません。まず当社ではアルコールに耐えうる原料を模索しました。

耐アルコール性の高い樹脂といえば、代表的なものとして塩化ビニル系樹脂が挙げられます。しかし、ハロゲンフリーを掲げた以上塩素(ハロゲン)を含む物質を主にはできません。

 

限られた物質を使い試行錯誤する中、当社はタブレット機器の製造中に表面ガラスを加熱する過程があることに着目しました。

そこで、その熱を利用してインクを固める熱硬化性インクを用い開発を進めました。印字位置の面が黒色であったので、視認性の観点から、インクの色は白色に定めました。(下記 写真1参照)

こうしてガラス用インク「CP204白インク」が開発されました。

このインクで通常のインクを使用するよりも強固な接着性を発揮できました。もちろん、前述の環境基準もクリアできるような原材料を使用しています。

 

他にも当社では耐久性など上記四つの条件を満たすインクとして、UV硬化インクをご提案することも視野に入れておりました。UV硬化インクは他のページでも説明していますが(UV硬化インクで広がる企業の成長戦略)耐久性に優れており、耐アルコールと高吸着の条件を満たすことが可能です。

しかしこのご提案ではインクの硬化に別途UV照射機など追加設備が必要となります。そのため初期費用がかかり、コストを上げずに運用出来ないというデメリットがありました。

 

今回は商品の生産に高熱を加える過程がありました。これを利用することで、生産面だけでなくコスト面からも大きくお客様に寄与できると考え、今回開発した「熱硬化性白インク」が採択されました。

 

現在このインクは、タブレット端末製造メーカー様にご採用いただいています。

 

 

写真1 タブレット端末印字例 発明協会HPより

 

 

 

 

 

 

 

 

写真2 開発のベースとなったCP204白インク

 

要点

  • 製造過程の表面ガラス加熱を利用し、熱硬化性インクを採用。
  • 黒の面に印字するため、視認性の良い白色を採択。
  • 生産面、コスト面両面からサポートできるガラス用インク(CP204白)の開発に成功。

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