産業用インクジェットプリンターの進化が進み、プラスチックや金属、ガラスなどインクが浸透しない素材についても速乾性インクで対応が可能になってきました。ただ速乾性にも材質などによっては固定せず、剥離しやすいものもあります。また水濡れや温度条件など、印字環境によっても変わってきます。

浸透しない素材にさらなる印字の確実性が求められるようになり、大きな文字やイラスト、さらに外装用としてのプリントが要求され始めました。

そこで紀州技研工業では、新サービスの創出と新たなビジネスチャンスをつかむため、UV硬化インクによる産業用インクジェットプリンターの開発に着手。PETや金属、ガラスやコート紙など、どんな素材にも印字でき、UV硬化でインクを定着させることで、プリント時間も大幅に短縮。UV硬化の利点を最大限に生かしつつ、相場よりも安価で提供できるようコストの削減にも努めました。

「UV硬化インク」とは、UV光（紫外線）を照射することにより硬化・定着させるインクのこと。PETや金属、ガラスやコート紙など、どんな素材にも印字でき、さらに用途として「大きな文字」や「イラスト」、「外装用」にも対応できる方式として、オンデマンド式インクジェットプリンターを採用しました。

UV硬化インクは、多彩な用途と速乾性による高速印刷。硬化したインクの耐久性にも優れています。また紀州技研としてこだわったのが、従来の単色インクから「フルカラー」への対応。色の種類としては黒を中心に、赤、青、緑、黄色。インクジェットプリンターでカラー印刷を行うのに必要な色のすべてをそろえ、フルカラー印字（CMYK）の特性を最大限に生かす高解像度を誇っています。

最大印字の高さは108㎜。600dpiの高解像度ヘッドを4機搭載。1パスの瞬時にして、鮮明にプリントすることが可能です。モニターでは、取り込んだビットマップ画像を画面で確認しながら、簡単に色調整を行うことも。文字の種類のほか、フォントについてもWINDOWS搭載フォントを採用し、モニター上でのデザイン処理を可能にしました。これにより、パッケージなどのデコラティブから、ラベルやシールといった商品イメージを印象づける装飾デザインまで、プリント段階でアイデアを形にすることができます。最小ロット数は1枚から。通常、業者に発注すると何千部単位で在庫を抱えることが多かったラベルやシールも、必要な時に必要な分だけ、瞬時に印字が可能。予算も効率も最小限で、最大限の効果を発揮することができます。

UV硬化は、CMYKのフルカラーに対応する「UV硬化インク」と、フルカラー印字システムを搭載した「産業用インクジェットプリンター」、そしてインクを硬化・定着させる「UV照射機」の3つをセットにして提供。インクからプリンター、照射器まですべてを自社で開発・生産しているからこそ、市場よりも比較的リーズナブルでコストパフィーマンスにも優れています。

柔軟性のある硬化塗膜で折り曲げにも強く、印刷品位を損なうことなく出荷・保管が可能。環境にやさしい無溶剤タイプのインクで、UV-LED光源も硬化の際にオゾンの発生がなく、人体にも環境にも安心。現在、企画や商品開発などにおけるテスターやサンプルの印字、さらにOEN生産に適した産業用インクジェットプリンターとして、多方面からさまざまな広がりをみせています。