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産業用インクジェットプリンターの新動向

はじめに

昨今、携帯電話の世界では、QRコード対応の機種が数多く販売され、その用途や応用範囲は、単なるURL読取りにとどまらず、チケット予約や携帯電話料金の支払いなど、その進歩には、枚挙に暇がない状況です。

QRコードは、2次元バーコードの1つであり、JAN、ITF、Code39、EAN128など、いわゆる1次元バーコードの欠点を補ったバーコードで、最近急激な広がりを見せています。 ここでは、2次元バーコードの概要、外装ダンボールへのバーコード直接印字、弊社インクジェットプリンターをご紹介します。

2次元バーコードの概要

産業界では1次元バーコードが最も多く使用されているが、課題も多い。

かな、漢字をエンコードできない。
バーサイズが大きい。
バイナリデータを使用できない。
汚れに弱く、誤り訂正機能がない。

これらの課題を解決すべく開発されたのが、2次元バーコードです。
2次元バーコードは、1980年代後半から、多くの会社で新しい種類の2次元バーコードが発表され、乱立の時代となりましたが、最近では乱立した2次元バーコードも淘汰されてきています。今後、日本で普及が見込まれる2次元バーコードは、QRコードとPDF417の2種を中心に展開されるのではないかと推測されます。

QRコードについては、1999年に2次元バーコードとしては初めて、JIS X 0510としてJIS規格化され、急速に普及への弾みがつきました。

PDF417については、JIS規格化はされていませんが、世界的に普及している2次元バーコードです。QRコードの「QR」は「Quick Response」の略で、その名の通り高速な読取りが可能です。また、PDF417については、誤り訂正機能が強力であるなどの特長を持ち、各々の特長を生かした場面で使用されるようになると思われます。

外装段ボール箱の現状とバーコード

現在、外装段ボール箱へは、フレキソ印刷、または、ラベラーによるバーコード印刷後の段ボール箱へ貼付のいずれかのケースが多く、そのようなケースでは、下記のようなデメリットが考えられます。

  • 外装段ボール箱へバーコードをフレキソ印刷する場合、ある程度の数量がまとまらないと、コストが高くなり印刷業者へ出せない。
  • 印刷が完了した時点では、段ボール箱をストックしておくスペースが必要となる。バーコード種(品種)が多いほど、そのストックスペースも多大に必要となる。
  • 印刷業者へ出すとある程度の納期が必要となり、いつでも必要なバーコードをすぐに入手できない。
  • ラベラーによるバーコード印字の場合、ラベル代が必要となり、単価が高くなる。また、ラベルを外装段ボール箱へ貼付けする必要があるので、コンベア速度は高速にはできない。また、貼付け時のトラブルは避けられない。

このような理由により、バーコードを直接、外装段ボール箱へ産業用インクジェットプリンターで印字するケースが増えています。

産業用インクジェットプリンターの種類

産業用インクジェットプリンターは、大きく分けると、「オンデマンド式」と「連続式」に分かれます。

オンデマンド式は必要数のノズルを有し、待機状態ではインクは飛んでおらず、印字信号によってインクを噴出するタイプです。また、オンデマンド式で使用されるインクは、染料系の浸透性が高いものが使用され、段ボール向けには、主に大文字用インクジェットプリンターと称されるこのタイプが用いられます。

連続式は通常1個のノズルで、常にインク粒は形成されており、印字信号によってインク粒を偏向させ印字します。よく見かける、缶ジュースなどの底に印字されている賞味期限等は、小文字用インクジェットプリンターと称されるこのタイプを使用しています。連続式の場合は、揮発性の顔料系インクが多く使われており、缶や樹脂等を対象にした印字に使用されます。そのため、外装段ボール箱へのバーコード直接印字では、一般的に大文字用インクジェットプリンターが用いられます。

高品位産業用インクジェットプリンター

弊社産業用インクジェットプリンターは、バーコード印字に加え、印刷でなければ対応できなかった、グラフィック印字や罫線内の文字の印字など、無地のダンボール箱に対し幅の広い印字を可能にしました。このことにより、今まで以上に梱包資材の共通化が図れるようになりました。

弊社は外装用インクジェットプリンターとして、JET HQシリーズを販売し多くの実績があり、今では17年連続ドロップオンデマンド式インクジェットプリンター部門 全国シェア1位!(2019年)を獲得しております。

QRコードやGS1コード、画像まで印字可能なタイプとしては、高解像度600dpiを誇るJET HQ8500型(2558chヘッド)がおすすめです。またUV硬化インクもございますので浸透性の無い化粧箱などへの印字も可能です。また、大きな印字なら業界最大である印字高さ130mmのJET HQ8500型(256chヘッド)があります用途に合わせてご提案させていただきます。

 

JET HQ8500は用途に合わせて9種類のヘッドから選べます(フルカラー/2558ch/1200ch/600ch/256ch/510ch/384ch/128ch/32ch)

  • 2558chヘッドの場合、高解像度(600dpi)で印字高さ108mmまでの文字やグラフィックス印字ができる。
  • 各種バーコードはもちらんQRコードやDataMatrix、PDF417、GS1データバーの印字にも対応。
  • UV硬化インクにも対応。PET、金属、コート紙などのノンポーラス(非浸透性)素材にも印字可能。※別途、UV照射装置が必要となります。
  • 1コントローラ4ヘッド対応/ヘッド単位で独立制御。

 

  • 256chヘッドの場合、印字高さは業界ナンバー1の130mm(50dpi)。
  • 段ボール箱だけでなく、発泡スチロールにも対応。大きな文字を印字したい場合に最適。
  • もちろん各種バーコード、QRコード対応。
  • 1コントローラ4ヘッド対応/ヘッド単位で独立制御。

 

  • フルカラーヘッドの場合、印字高さは108mm(600dpi×4ヘッド※CMYK)。 
  • UV硬化インクで今まで不可能だったノンポーラス素材にもきれいに印字。
  • インクを瞬間硬化し、高い生産効率を実現。
  • ラベル・シールの代替に最適。

 

段ボール箱へ直接印字できる

  • パソコンで作成したデータをダイレクトに印字。専用のエディタソフトで複雑な印字パターンも簡単編集、BMPデータも取込み簡単。
  • 無地のダンボール箱への各種内容の印字により、梱包資材の共通化、合理化が図れる。
  • ラベルでは対応できなかった、日付時間(有効期限)、ナンバリングへの対応が可能。
  • ラベルに比べランニングコストを削減できる。
  • 通信インターフェイス標準搭載。生産ラインでのシステム構築を強力にバックアップ、上位ホストとの連動も可能。

 

問題点への取り組み

バーコードを段ボール箱へ直接印字するためには、多くの問題点があります。弊社ではそれら問題について、次のような取組みで臨んでいます。

  • 顔料系インクの採用。
    ・滲みが少なく、印字直後のバーのエッジがシャープ。  
    ・レーザー式バーコードリーダーが読取る波長に対し、反射率が低くなるような設計。
  • 各バー幅を調整するための詳細調整機能を装備。
  • インクジェットプリンターとコンベアラインの一体設計。段ボール箱とインクジェットプリンターヘッドとの距離を、できる限り近く、かつ一定速度に保つ。
  • エンドユーザーとのコミュニケーション。バーコードの読取り率等については、弊社の取組みの状況をご説明し、万全を期したコミュニケーションを心掛けている。
  • エンドユーザーへのインクジェットプリンター機器の貸出し。実環境での印字テストを行って頂くようにしている。

終わりに

弊社では、1次元バーコードについては早くから取組んでおり、そのポリシーとしては「バーコードリーダーの性能に依存せず、JIS規格にできる限り近づくこと」です。すでに多くの納入実績があり、エンドユーザーの方々から好評をいただいています。また、2次元バーコードの印字についても、1999年のJIS規格制定前後よりすでに取組んでいます。

今後も、より一層の高い印字品位を、1歩先んじた技術をもって目指していきます。

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