技術情報

備長炭の話

備長炭とは

江戸時代の元禄年間に、和歌山県田辺市の備中屋長左衛門が作り始めたのが由来となっています。材料に樫を使い、高温で蒸し焼きにし、窯の外で素灰と呼ばれる灰を掛けて消火するため、きめが細かい良質な炭となります。

備長炭の定義としては、日本農林規格(JAS)では樫を白炭に焼き、三浦式硬度(*)15度以上の物と決められ、硬い備長炭は硬度20度と、当然ノコギリでは切れず、ハンマ-のかわりに釘を打つことも出来る程、硬いものです。

現在、備長炭はJASからはずされていますが、この規格は全国木炭協会等の認定により、維持されています。新しい木炭の規格は、固定炭素含有量と精煉度を基準として作られています。

備長炭の規格は、樫の木を白炭で炭化したもので、固定炭素90%以上、精煉度0~2度です。元素組織としては、炭素92~3%、灰分2~3%、揮発分4~5%位、また精煉度とは炭化の度合いを示すもので木炭表面の電気抵抗を測り、0~9の10段階で表示し、木炭精煉計により測定した炭化度で、電気抵抗の指数で示します。

この電気抵抗は炭化温度に関連します。炭化温度を上げていくと電気抵抗は少なくなり、700度位の温度で炭化した炭はかなり電気が伝わり、1,000度位で炭化した炭(白炭)では電気の流れはさらによくなります。これは炭素の構造が、温度が上がるにしたがい整然としてきて、黒鉛の構造に近づくことに起因します。

無定形炭素といわれている炭素類の炭素構造は基本的には黒鉛の炭素構造と似ていますが、分子が非常に小さいため、通電性が良くなります。

※ 三浦式硬度とは、鉛が1度、鋼(はがね)が20度で20段階に均等に区別されています。

備長炭の特徴

一般に火力が強いと言われていますが、本来は黒炭よりも低温で長時間燃焼します。煙が出ず雑味が付かないため、炭火焼を売り物にする料理屋(鰻屋、焼き鳥屋)などで重宝されています。また、最近では燃料として使うだけでなくさまざまな用途に利用されています。

水がミネラルウォーターに

優れた吸着量でカルキ臭の原困となっている塩素や悪臭が消えてしまいます。
備長炭の中に含まれているマグネシウム、マンガン、カルシウム、鉄分など、健康に欠かせないミネラル成分が、水に徐々に溶け出し、天然水と変わらない「まろやか」な味わいのおいしい水に変わります。
さらに備長炭から放射される遠赤外線が水の分子を小さくし、吸収力の高い「すっきり」した水にかえます。

ご飯がふっくら

炊飯時に備長炭を入れて炊くと遠赤外線のパワーで芯まで熱がいきわたり、ふっくらした美味しい、ご飯が炊き上がります。

おふろに入れて温泉気分

水の分子集団が小さくなり、キメ細かい状態で肌に滑らかな快い感じを与えます。
また遠赤外線放射により体の芯まで暖めてくれ、湯冷めしにくくなります。
有害物質である塩素のほとんどを除去するので一番風呂でも肌にピリヒリと刺す感じがなくなります。

お部屋や玄関に

湿度を調整したり脱臭の効果があるので快適にすごせます。

備長炭でエコ洗濯

備長炭が汚れの成分を吸着して洗濯水を浄化し、汚れの成分を出やすくします。
備長炭と塩だけで、洗剤やせっけんを使わない洗濯法は、地球環境と人体にやさしい洗濯法といえます。

楽器にしてこころの癒しに

普通の黒炭よりもかたくて叩くと澄んだ金属音がするので、風鈴や炭琴(たんきん。備長炭を使って作られた楽器で木琴の形をしている。)にして心地よい音を楽しむことができます。

食品としての備長炭

備長炭は「植物炭末色素(Vegetable carbon black)」という食品添加物に相当します。
「植物炭末色素」とは「植物を炭化して得られた、炭素を主成分とするもの」として定義されています。
その他、最近では備長炭を粉末にして菓子やうどんなどに練りこんだ食品も販売されています。

紀州技研工業では、食品添加物としてみとめられている備長炭を原料に備長炭インクを開発し、食品への直接印字の可能性を広げました。

備長炭は危険物?

炭は危険物として扱われていますが、和歌山県木炭協会が発行する「紀州備長炭証」の貼られた和歌山の紀州備長炭だけは特別に国内線の航空輸送が可能です。

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